サーフィンレップスインタビュー川畑邦宏
サーフショップはやっぱり中身が肝心だと思います。ショップにいいスタッフがいるから、いいサーファーが集まってくれる。
川畑邦宏
カワバタ クニヒロ
PHOTO&TEXT&INTERVIEW : N.HASEGAWA

 プロサーファーとして15年間に渡りシード選手として活躍。その傍らでサーフショップ、「キラーサーフ湘南」をオープンさせ、国内有数の「売れているショップ」に発展させる。さらにキラーサーフ東京もオープンし、成功させる。
  プライベートでは家から徒歩3分のポイントで息子たちと一緒にサーフィンをしている。
  日本国内で最も成功したサーフショップオーナー&プロサーファーの1人、川畑邦宏プロにインタビュー。



-- 名前、年齢、職業を教えてください

 川畑邦宏、1966年2月6日生まれ、43歳です。
 サーフショップのオーナー、プロサーファー、サーフボードの開発などサーフィンに関わる仕事をしています。



-- 出身地はどこですか?

 宮崎で生まれて、高校を卒業するまで宮崎で育ちました。なんちゃって九州男児です(笑)
 高校1年の夏に友達とサーフィンを始めたら、面白くてハマっちゃいました。それから毎日毎日、放課後に友達とサーフィンするようになり、大会にも出るようになりました。
 九州の大会で勝てるようになって、プロサーファーになりたいと夢を持ちました。スポンサーの勧めもあって高校卒業後に湘南茅ヶ崎に移住です。



-- 湘南ではどんな暮らしをしていたのですか?

 湘南ではボロアパートで、自炊して、洗濯して、掃除して、さみしい男の1人暮らし(笑)。でも色々と楽しかったかな〜。

 夜はサーフボードのファクトリーなどでアルバイトをしながら、毎日サーフィン練習して大会に出て腕を磨きました。








-- プロサーファーになったのはいつですか?

 1986年、20歳の夏、高校1年生の時でサーフィンを始めてから5年目でした。
プロクラストライアルって、どんな感じかなぁって、初めて受けたJPSAプロテスト(新島)の1回目で合格しました。




-- 当時、プロサーファーとして生計は成り立っていたのですか?

  プロになった初年度はプロサーファーだけでは収入が少なく、アルバイトをしながらプロツアーを回っていましたが、プロ1年目でシード権を取得したのもあって、スポンサーも増えてプロサーファーの仕事(スポンサー料、賞金、他)だけで生活できるようになりました。








-- キラーサーフをオープンしたのは何歳のときですか?

  1991年6月、25歳でオープンしました。
  プロサーファーとしてスポンサーからの契約料などの収入で生活はできてましたが、プロスポーツ選手は歳を取ると現役引退があり、一生ずっとは稼げないと思っていました。将来を考えてサーフィンに関わる仕事をしたかったのでサーフショップをオープンしました。





-- ショップをオープンして良かったことは?

  自分が店を持つことで、たくさんのサーファーが店に来てくれて、自分がサーフィンで経験したいろんなことをサーファーのみなさんに伝えられるようになりました。

   スクールやテクニックアドバイスを教える事でみんなの気持ちや悩みも分かって、今でもいつでも初心に帰れるところがいいですね。






-- 現在はどこに住んでいるんですか?

 茅ヶ崎と千葉の両方に住んでいます。
 湘南、東京にショップがあるので、ショップへ行きながら千葉の家に帰ったり、湘南の家に帰ったりしています。だいたい千葉:湘南に住む割合は6:4ぐらいかな、でも仕事や波のコンディションによって変わるので週単位で変わります。

 千葉にも住むようになったのは息子が千葉でサーフィンをしたいと言ったことがきっかけで、今から5年前に千葉にも住むようになりました。今は家族で千葉と湘南を行ったり来たりしています。千葉から湘南まで車で2時間くらいなのでそんなに大変な距離ではないですよ。

 毎年、冬は1ヶ月ぐらいハワイに行って、その他、雑誌取材でバリや他国にサーフトリップが1〜2回。
国内では実家のある宮崎に3〜4回は行ったりして(笑)、忙しくて家にいないことも多いですがサーフィンできて幸せです。







-- 千葉に住んでよかったことはなんですか?

  ジャスティスサーフボードの開発ができることがいいですね。毎日波があるので新しいモデルをテストライドしてシェイパーとミーティングを繰り返して、自分が乗るのも調子いいボードが欲しいし、ユーザーにも調子いいボードで楽しくサーフィンしてもらいたいので納得いくまでテスト開発してます。

  僕はいつも、湘南と千葉の両方の海でサーフィンしているので、千葉の波質から湘南の波質まで、サーファーの気持ちになって考えて、大会を目指してるコンペ志向の人にはハイパフォーマンスモデル、週1休みに楽しみたい人には簡単に乗れて簡単に動く大人のモデルを作ってます。

 




-- プロサーファーとサーフショップの両立は大変ではなかったですか?

  そんなに大変だと思うことはなかったですね、敢えていうなら時間が足りなかったことかな。
プロサーファーの自分のために練習して、ツアーを回って、サーフショップをオープンするのにどうしても時間が足りなくなることがあります。でも当時は若さがあったので、睡眠時間は少なかったけれど、体力があったので乗り越えられました(笑)。

 プロサーファーとサーフショップの両立は、どちらもサーフィンに関することなので、いろんな視点で物事を考えるし、いろんな情報が入ってくるし、お客さんやクラブ員のみんなとサーフィンしたり、面白い事がたくさんあるので大変じゃなくて逆に楽しいです。
あとは時間が足りないときには、嫁さんやスタッフがショップを切り盛りしてくれて助けてもらってます。周りのみんなには本当に感謝しています。





-- 何歳までプロサーファーとしてツアーを回っていたのですか?

  36歳くらいです。















-- プロサーファーは現役プロを退いた後、進む道はいろいろあると思いますが、プロサーファーが家庭を守り、経済的に自立していくためにどんな道に進むのがいいと思いますか?

  自分の経験を活かせるサーフショップやメーカーなどサーフィン業界の仕事などがいいんじゃないですか。






-- 結婚は何歳のときですか?

  26歳で結婚しました。
  サーフショップをオープンしてから1年後です。結婚して家族が出来て、なおさらプロサーファーもサーフショップにも気合が入りましたね。











-- 子供はいますか?

4人います。上が息子2人、下が娘2人です。
高校2年生、中学3年、小学3年、小学1年生です。息子2人はサーフィンをしています。
学校から帰ってくると家の前の海(家から海まで徒歩3分)に入っているので、僕も時間が合えば海で一緒にサーフィンをしています。
(このページで使用している写真2枚は息子の太志君、友吾君のライディング)






-- 子供たちにサーフショップを継いで欲しいと思いますか?

 職業はサーフショップを継いでも継がなくてもどちらでもいいです。
 自分もやりたい事、やりたい仕事をやってきているので子供たちにもやりたい仕事を責任もってやってもらいたいと思います。そして仕事、サーフィン、家庭のすべてを両立させられるような大人になってもらいたいですね。






-- 今の時代、サーフショップを新規開業してビジネスとして成功していけると思いますか?

 できると思います。
  サーフショップはやっぱり中身が肝心だと思います。ショップにいいスタッフがいるから、いいサーファーが集まってくれる。サーフィン人口は増えているし、サーフショップにまだまだ未来があると思います。








-- スタッフの総数は何人ですか?

  アルバイトを含めると10人です。




-- 複数店舗のサーフショップ運営で大切なことは何ですか?

  一番大切なのは人材じゃないですか。
  真面目でいいスタッフがいるのなら上手くいくと思います。

  湘南店がオープンしてから10年後に東京店をオープンしました。東京店をオープンしたきっかけは、その時にいいスタッフがいたということ(もちろん今もスタッフとして頑張ってます)。

  当たり前のことですが、自分もスタッフもサーフィン始めた時は初心者でショップの人や先輩に色々と教えてもらって、今でも凄く感謝してます。






-- 複数店舗を出店した場合にスタッフのモチベーションなどはどうやって保つのですか?

  よくみんなに、キラーサーフは「川畑プロの店」というように言われますが、僕はそんな風に思っていません。キラーサーフは第一に「お客様のためのショップ」であり、次に「スタッフのためのショップ」であると考えています。

  僕がお客様のことを一生懸命考えて、スタッフのことを一生懸命考えているとスタッフもお客様のこと、ショップのことをちゃんと考えてくれるようになります。
 サーフショップは一時的なアルバイトとしての仕事ではなく、一生を掛けられる仕事として捉えています。
  スタッフの中には結婚して、子供がいて家族を支えているスタッフもいます。そんなスタッフが「いい暮らし」ができるようにお互いに知恵を出し合っています。「サーフショップで働いているから経済的に良くないのは当然」ということがないようにしています。

  もちろんサーフィンも楽しんでもらえるように、毎年スタッフは社員旅行で海外旅行に行ってもらっています。ショップのお客様と一緒に海外にサーフトリップへ行って、お客様に楽しんで頂いて、スタッフにも楽しんでもらっています。せっかくサーフショップで働いているんだから、スタッフにはサーフィンの楽しみを満喫してもらいたいと考えています。






-- 3店舗目の出店は考えていますか?

  今は考えていません。
将来のことはあまり何も考えていません。いつもやりたいと思ったときに、やりたいタイミングでショップオープン、計画的というよりは、悪く言うと計画性がない(笑)。 3店舗目の話はスタッフとも話しますが、今はそのタイミングじゃないですね。







-- 行動の元になっている考え方はありますか?

  自分の考えはちゃんとありますが、嫁さんや社員に相談して、しっかり話を聞くようにしています。そこからアイデアやヒントをもらって、いい話があればすぐに実行しています。

去年いいことでも、今年はどうなっているか分かりません。人生は算数の「1+1=2」のようにいつの時代でも普遍的なものではないので、時代の流れとともに自分の考え、行動も変えていかないといけないと思います。だからいつも頭を柔らかくして、いろんな人から意見を聞いて、いいことを選択するようにしています。






-- 人生で大切にしていることは何ですか?

  サーフィン、仕事、家庭の3つがちゃんと両立できることが理想です。
3つをうまく両立するには時間が足りなかったり大変ですが、周りの人に助けてもらって時間を作るようにしています。
目標に向かって努力する事が大切だと思います。







<プロフィール>

名前 川畑邦宏 (カワバタ クニヒロ)
生年月日 1966年2月6日生まれ
出身在住 宮崎県出身 神奈川県、千葉県在住
その他 プロサーファーとして活躍する傍ら、キラーサーフ湘南店、キラーサーフ東京店のオーナーとしても活躍。2男2女の父親としての顔も持つ。
ブログ http://kawabata1surf.blog36.fc2.com/