「独立してみたい!」という気持ちだけでなんとなくスタートしたので、仕事がなく、何をしていいのかも分かりませんでした。 |
長谷川直之 |
ハセガワナオユキ |
PHOTO: many people、TEXT&INTERVIEW : NAMI.OKADA |
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サーフィンレップスの代表。サーフィンレップスの営業、制作、取材、撮影など幅広い分野の仕事をこなす。一方でサーフィンSNSサイトの運営、メンズ下着販売、犬のサイト運営など多方面のウェブ関連事業を手掛けている。
今回はサーフィンレップスを始めたキッカケや苦労などについて長谷川さんにインタビューさせていただきました。
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-- 名前、年齢などを教えてください
長谷川直之、33歳です。
-- サーフィンレップス始めたのはいつですか?
2003年9月です。27歳のときでした。
はじめは個人事業主としてアパートの一室で1人でスタートしました。「独立してみたい!」という気持ちだけでなんとなくスタートしたので、仕事がなく、何をしていいのかも分かりませんでした。同時期にキックボクシングのジムに通い始めて、毎日ジムへ行ってトレーニングして、帰ってきてからサーフィンレップスのウェブサイト制作をするという生活でした。
-- サーフィンレップスを始める前は何の仕事をしていたのですか?
大阪の大学を卒業後、大阪のシステム開発会社に入社し、システムエンジニア(SE)として3年間働きました。
その後、「東京に住んでみたい」という気持ちから、25歳の時に東京へ引越し、今度はITのベンチャー企業で営業マンを2年経験しました。
営業の仕事はとても肉体的、精神的にとてもハードでした。毎日終電で帰宅するような生活でしたが、その分いろんなことを勉強させて頂きました。営業マンとしての心構え、作法、テクニックなど。
また会社が少人数だったこともあり、会社の運営方法などもよく見えて、その後の独立のためにとても役立ちました。
その経験がなければ、今の自分はなかったかも知れません。
-- サーフィンレップスを始めたきっかけを教えてください
もともと独立したときに考えていたビジネスは「ウェブサイト制作会社」でした。業界を絞って「ウェブサイト制作」をしようと考え、自分が趣味でやっていたサーフィンの業界を相手に仕事ができたら楽しいかな?という安易な考えで「サーフィン業界のウェブサイト制作会社」にしました。
独立したときには、ウェブサイト制作の実績がゼロだったので、それでは営業に行っても信用されないと考え、「こんなウェブサイトが作れます」というサンプルを作ろうと考えました。そのサンプルウェブサイトとして生まれたのが「サーフレップス」でした。
「サーフレップス」
を制作しつつ、ウェブ制作の営業活動を少ししていました。そんな中、営業に行ったサーフショップで、サーフショップのHP制作の初仕事を頂きました。初めての仕事を受注したときは本当にうれしくて、注文を頂いた帰りの車の中で何度もガッツポーズしていました(笑)。
しかし実際にウェブ制作をしてみると意外と手間が掛かり、経費などのコストを考えると赤字かな?という感じでした。そしてこの先、サーフィン業界のウェブサイト制作でちゃんとメシを食っていけるだけの収入があるのか不安になっていました。
その頃、サーフィンレップスのアクセス数が順調に伸びてきており、知名度も上がり始めていました。そんなときにサーフィン関係の会社、2社から同時に「広告出稿を検討している!」というオファーを頂きました。そこで、もしかしたら広告業のビジネスができるかも?と思い、ビジネスの方向転換をすることにしました。
-- 仕事を始めて大変なことはありましたか?
貧乏だったことを除けばそんなに大変なことはありませんでした(笑)。
独立して最初の6ヶ月間の売上が15万円でした。6ヶ月経ったときには自分の通帳残高が残り20万円になっていました。そこでようやく、「ちゃんと働かないとヤバイ!またサラリーマンに戻るかフリーターになる」と焦って、取材、制作、営業活動などを精力的にこなすようになりました。 そうこうしているとだんだん仕事っぽくなってきました。一度仕事が動き出すと今後は自分の意思とは関係なく、常に忙しい状態に変わりました。
そしてそのまま現在に至っています。
-- サーフィン業界に人脈やコネなどはあったのですか?
サーフィンレップスを始めた当時、サーフィン業界に知り合いが1人もいませんでした。
地道に取材して、サーフィンレップスを更新して、営業活動をしている中で、いろんな出会いがあり、その中でもサーフィンレップスや自分を応援してくれる人が少しずつ現われました。出会ってきた人たちがいろんなことを教えてくれて、自分もちょっとずつ成長してきました。出会ったきた人達のおかげで今のサーフィンレップスがあると思っています。いろんな人に応援してもらえたことが本当にラッキーで、うれしく思います。応援して頂いている分、自分はサーフィンレップスを通じて「サーフィン界の発展」という形で恩返しをしていきたいと考えています。
-- もしあの時こうしていれば...というような将来を左右するような選択はありましたか?
ありました。
サーフィンレップスにまだ広告が1件も掲載されていなかった頃のことですが、あるとき広告掲載の問合せが同時に2件来ました。1つはサーフショップで、もう1件はネットショップでした。僕は両方の広告を出してもらおうと考えていました。しかしサーフショップの人には、ネットショップと一緒に広告を出したくないと言われ、どちらか一方のみを選ぶという選択に迫られました。
ちょうどその当時(2003年)
、ネットの安売り業者が台頭してきた頃で、サーフィン業界ではサーフショップの売上が落ちてきていた頃でした。サーフショップやサーフィン業界は、ビーチクリーンやサーフィンの大会を開催したり、海の地元の人たちといろんな話し合いをしたり、サーフィン業界発展のために尽力している。ネットの安売り業者はサーフィン業界発展のために何もしていない、というような時代でした。そのためサーフショップは安売りネット業者と一緒に広告を出したくない、という考えがあり、サーフィンレップスはサーフィン業界と付き合うか、ネット業者と付き合うか、どちらかの選択をすることになりました。
そして選んだのは「サーフィン業界」でした。
そして現在も当時から変わらず、ネットのみの業者は広告お断りしており、サーフィン業界と付き合っています。もしあの時、ネット業者を選んでいたら、今のサーフィンレップスはなかったと思います。
-- 現在、仕事で大変なことはありますか?
インターネットの業界はものすごい早さで進化しているので、技術面やコンテンツ面、その他で常に「最新」を理解するための勉強が大変です。またサーフィン業界ではみんなの1歩先を行きたいので、研究したいことがたくさんあるのですが、日々の仕事に追われて、時間を作るのが大変です。そのためだいたい毎日、長時間労働しています。仕事量が多すぎていつも頭の中がパンク状態です(笑)。そんなときにはストレスを発散させて頭をスッキリとさせています。僕のストレス発散法は、サーフィンとキックボクシングと犬の散歩です(笑)。
将来の理想は、「仕事は全部スタッフに任せて自分はサーフィンしている」ですが、まだまだ時間が掛かりそうです。。。
-- 仕事で楽しいことはありますか?
たくさんあります(笑)。
雑誌で見ていて憧れていたプロサーファーと初めて仕事をしたときに、この仕事をしていて本当に良かったと思いました。
サーフィン業界の人に出会うのは楽しいです。いろんな人とサーフィン以外のことでもいろいろ話をするのは本当に楽しいですね。サーフィン業界の人は魅力的な人が多いと思います。
取材も楽しいです。取材での写真撮影にハマっています(サーフィンレップスでは基本的に「インタビュアー、カメラマン、記事を書く」の仕事を各担当が1人でこなします)。大会、プロサーファー、特集用の撮影などでいい写真が撮れるとうれしい!たまに雑誌に自分が撮影した写真が掲載されたり、メーカーのカタログなどの写真が出るとすごくうれしくなります。完全に自己満の世界ですが...
サーフィン業界ならではだと思いますが、打ち合わせの前後にクライアント様やプロサーファーと一緒に海に入ったりできるのは最高ですね!待ち合わせ場所が海だったり。全国に取引先があるので全国いろんなところに行っても、寄り道して話ができる場所があるっていうのも、うれしいです。
サーフボード、ウェットスーツ、その他ギアなど最新のものに常に触れられる環境も楽しいです。
仕事のアイデアやサーフィンレップスの特集企画などを考えて実行して、
例えば特集ページがものすごくアクセス数のあるヒットページになったときなども、うれしいですね。
-- 今後サーフィンレップスをどうしていく予定ですか?
サーフィンがもっともっと発展していくための手助けになるサイトにしていきたいと考えています。
サーフィン情報について、ナンバー1のサイトであることはもちろん、サーファーが毎日見ていても飽きないくらいの情報量や更新頻度で、いろんなサーファーのニーズに応えていきたいです。初心者サーファーがサーフィンレップスを見て、1人前のサーファーに育っていってくれればうれしいです。サーファーがサーフィンを続けやすい環境を作って、サーファーのレベルが上がり、カッコイイサーファーが増えてほしいです。。そしてきれいなビーチをキープし、サーフィンがずっと楽しく、カッコイイものであれば最高です。そんな環境を作れるようにサーフィンレップスはサーファーをサポートしていきたいと考えています。
-- 将来の夢を教えてください
サーフィンレップスを100年続くものにしたいですね。ウェブサイトという形にこだわらず、時代とともにいろんな形に変化しながら、長く続けばいいと思っています。長く続けるためには、人に愛されて、必要とされて、ビジネスとして継続し続けなければ無理なので、「サーフィンレップス=本当にいいもの、必要なもの」として継続していきたいです。
(株)レップスとしては、サーフィン業界で得た知識を他の分野で活かし、他の分野で得た知識をサーフィン業界で活かし、ITを中心にして、いろんな「楽しいこと」をビジネスとしてやっていきたいですね。
人に愛され、必要とされる会社を作り、レップスに関わりのある一般ユーザーの方、クライアント様、従業員、みんなが幸せになれるような組織にしたいと思っています。
-- 今後、サーフィン業界で仕事を始めたいと思っている人に一言お願いします
サーフィン業界でビジネスをしても大金持ちになれるような業界ではないと思いますが人生が楽しくなる業界だと思います。情熱、行動力、考える力の3つがあれば仕事はうまくいくと思います。サーフィン業界で仕事をしたいのなら、まずは始めてみるのがいいと思います。始める前にいろいろ考えても、想定していることと現実は異なることがよくあるので、考えるよりは始めてみる方が、いろんなことが分かると思います。
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