サーフィン写真の撮り方について、自分が撮影しているキャノン一眼レフカメラ&望遠レンズの機材ややり方を紹介します。
サーフィン写真の撮影歴: 2003年〜
サーフィン写真の撮影枚数: 約7万枚/1年間
<使用機材>
■サーフィンのライディング撮影に使用する機材
カメラ: CANON EOS 7D
レンズ: キヤノン:EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM
ライディング撮影以外(海の写真やスナップ撮影)ではCANON EOS 6Dを使用。
サーフィンのライディング撮影には望遠レンズが必須です。
望遠距離を稼ぐために、APS-Cサイズのカメラを使用しています。
APS-Cの一眼レフカメラはフルサイズの一眼レフカメラに比べて、レンズの焦点距離が1.6倍になります。
<フルサイズの場合>
400mm表記のレンズ → 400mm
<APS-Cの場合>
400mm表記のレンズ → 560mm
僕はサーフィン以外の写真はEOS7Dよりも美しい写真が撮れるEOS6Dを使用しますが、
サーフィンの写真に関してはEOS7Dを使用しています。
その理由は2つあります。
・EOS7DはAPS-Cなので、望遠距離が長くなり、よりアップでライディングを撮影できる
・連写スピードがEOS7Dだと約8枚/1秒で、EOS6Dの約4.5枚/1秒よりも倍近く連写スピードが早い
*連写スピードが約4.5枚/1秒だとサーフィンのトップアクションでボードを返している良い部分をすべて撮りきれません。
逆に連写スピードが約8秒/1秒だと良い部分の取り逃しがほとんどありせん。
撮影する被写体がサーフィンの場合は単純な描画力で優位にあるEOS6Dよりも、EOS7Dの方が良い写真が撮れます。
<撮影方法>
■カメラの設定
望遠距離
望遠を最大にする
シャッタースピード
1/1000以上に設定すると水しぶきが止まったように撮影できます。
シャッタースピード 1/1250
カメラ:CANON EOS 7D レンズ:EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM
絞り値:F5.6 シャッタースピード:1/1250 ISO:200 露出補正:+2/3 焦点距離:400o
露出プログラム:シャッター優先モード
シャッタースピード 1/5000
カメラ:CANON EOS 7D レンズ:EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM
絞り値:F5.6 シャッタースピード:1/5000 ISO:1250 露出補正:+1 焦点距離:320o
露出プログラム:絞り優先モード
1/100以下のスピードだと動きのある雰囲気のある写真が撮れます。
シャッタースピード 1/100
カメラ:CANON EOS 7D レンズ:EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM
絞り値:F9 シャッタースピード:1/100 ISO:400 露出補正:+1 焦点距離:400o
露出プログラム:シャッター優先モード
三脚なしで撮影。
シャッタースピードが遅いと手ぶれしやすくなります。
ゲッティングアウトしているボディボーダーはぶれていませんが、ライディングしているサーファーと波はぶれています。
わざとシャッタースピードを遅くすることでいつもとは違う雰囲気のある写真が撮れます。
シャッタースピード 1/30
カメラ:CANON EOS 7D レンズ:EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM
絞り値:F4.5 シャッタースピード:1/30 ISO:400 露出補正:+1.3 焦点距離:100o
露出プログラム:シャッター優先モード
■望遠距離が足りない場合
対策1
できるだけ波打ち際に近いところまで移動してサーファーとの距離を縮めて撮影する
対策2
撮影後にパソコンで画像編集ソフト(PHOTOSHOP)などを使用して拡大する
画像拡大前↓
カメラ:CANON EOS 7D レンズ:EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM
絞り値:F5.6 シャッタースピード:1/3200 ISO:400 露出補正:+1 焦点距離:400o
露出プログラム:絞り優先モード
パソコンで画像拡大後↓
■優先モード
優先モードは基本的には絞り優先モードを使っています。
絞りF5.6でシャッタースピードはカメラに任せています。
天候が良く光があればシャッタースピード1/3000以上、曇りや雨のコンディションではシャッタースピードが1/1000以下になります。シャッタースピードが遅い場合はISOを1000〜2000くらいまで上げてシャッタースピードを速くします。
特に意図があって、シャッタースピードの遅い写真を撮りたいときにはシャッター優先モードにして、シャッタースピードを1/100以下に設定しています。
■露出設定
撮影していて一番設定を頻繁に変えるのが露出です。
天候が曇りになったり、明るくなったり、光の条件が変わるたびに設定を変えています。
撮影した写真をその場でチェックしながら、写真の明るさを見て露出を変えるかどうか決めています。
EOS 7Dの液晶画面では暗く見えていて露出を+にした場合、PC画面で見ると明るすぎることがあるので、
自分のカメラのクセを見抜いて判断してください。
光が順光で明るい昼間:
+2/3〜+1
光が逆光で明るい昼間: +1 1/3〜+2 (露出過度にして波を自然な明るさ撮るよりもサーファーを明るく撮るようにしています)
曇りや雨のとき: +1〜1 2/3
露出過度の写真↓
明るくしすぎて、波のスープの白い色が見えなくなっていますが、
代わりにサーファーが真っ黒にならずに色が分かるように写っています。
カメラ:CANON EOS 7D レンズ:EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM
絞り値:F5.6 シャッタースピード:1/8000 ISO:1250 露出補正:+1 焦点距離:400o
露出プログラム:絞り優先モード
サーファーとサーファーが乗っている波以外は露出オーバーで色が白く飛んでいますが、
背景の波よりも被写体サーファーをよく見せたいために、これくらいの露出で撮影しています。
■ドライブモード(連写設定)
カメラのドライブモード(連写設定)は「高速連続撮影」に設定します。
これでEOS7Dの約8コマ/1秒のスピードで連写できます。
■フォーカスモード(AF動作)
オートフォーカスのモードは「AI SERVO」に設定します。
AIサーボにすると動いている被写体にピントを合わせ続けてくれます。
■AF測距エリア
19点自動選択AFか中央1点AFを使い分けています。
波が大きかったり、高い位置からの撮影場所を確保できなかった場合など、
手前の波が被写体サーファーを隠すコンディションの場合は中央1点AFでサーファーを中心とした構図で撮影します。
19点自動選択AFだと手前の波にピントを取られて、サーファーがピンボケになることがあります。
その場合は中央1点AFで撮影するとピントを合わせやすいです。
■設定の詳細
サーフィン撮影のための一眼レフカメラ、CANON EOS7Dの設定方法。
同じ設定にすれば、とりあえずサーフィンの写真は撮れます。
あとはその場に合うように少しずつ設定を変えていけばOKです。
絞り優先モードの場合、適当なサーファーをテスト撮影してみてシャッタースピードが1000以上になるようにISOを設定します。
EOS7DだとISOがAUTO〜2000の間の数値で設定するようにしています。
ISOの数値を大きくすると、シャッタースピードも上がっていきます。
どんよりした曇り空や雨などのコンディションでは設定でがんばってみても、よい写真を撮ることは難しいです(^^;)
■撮影場所
光の向きをチェックする。
太陽に対して真っ直ぐに向ってレンズを構えると被写体が真っ暗になる。
太陽に対して横向きになるようにビーチを移動して撮影すれば、順光にはならなくても
少しは逆光を回避して、色が出る写真になります。
カメラ:CANON EOS 7D レンズ:EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM
絞り値:F5.6 シャッタースピード:1/5000 ISO:1250 露出補正:+1 焦点距離:400o
露出プログラム:絞り優先モード
逆光のためサーファーの顔が暗くなる。
逆光での撮影例↓
カメラ:CANON EOS 7D レンズ:EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM
絞り値:F5.6 シャッタースピード:1/6400 ISO:1250 露出補正:+1 焦点距離:400o
露出プログラム:絞り優先モード
逆光を避け、横から撮影したので、海の色がしっかりと出ています。。
サーファーは相変わらず暗いです。
ビーチを移動してできるだけ逆光を防げる場所を探しましょう。
■撮影場所の高さ
少し高い場所から撮影すると、ライディング撮影がしやすくなります。
海面に近い高さだとサーファーが手前の波に隠れてしまってボトムターンの写真が撮れないことがあります。
カメラ:CANON EOS 7D レンズ:EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM
絞り値:F5.6 シャッタースピード:1/3200 ISO:400 露出補正:+2/3 焦点距離:400o
露出プログラム:絞り優先モード
低い位置からの撮影例
手前のスープにサーファーが隠れてしまい、ボトムターンが撮れません。
またボトムターンでサーファーが隠れると、トップアクションでのシャッターを押すタイミングが掴みづらくなります。
カメラ:CANON EOS 7D レンズ:EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM
絞り値:F5.6 シャッタースピード:1/3200 ISO:400 露出補正:+2/3 焦点距離:400o
露出プログラム:絞り優先モード
トップアクションでもサーフボードのノーズが手前の波に隠れてしまいました。
■三脚の使用
望遠での撮影は手ぶれしやすいです。三脚があった方が無難だと思います。
手ぶれ補正機能がついているレンズ EF100-400mmだと三脚なしでもほぼ手ぶれしません。
僕は三脚を使ったり使わなかったりですが、手ぶれ防止のために三脚を使うのではなく、レンズが重すぎて疲れるから三脚を使用しています。1日中、重い望遠レンズを持って撮影すると翌日筋肉痛になります(^^;)
風が強いときには風でカメラがぶれるので三脚を使うようにしています。
■イスの使用
サーフィンカメラマンは撮影位置の高さを出すために、立って撮影しているカメラマンが多いですが、僕は基本的に座って撮影します。基本的に長時間撮影することが多いので、疲れにくくするためと、下半身がイスに固定されているとカメラがブレにくいためです。
■雨や塩害からカメラを守るために
海でカメラを使うときに気になるのが雨や塩害。
オンショアが強いときは直接海水が飛んできたり、水は飛んでこないが潮風が吹いてくることが多い。
気になる場合には写真のようにレンズ保護をしましょう。
このカバーはキャノンの純正レインカバーERC-E4Sという商品です。
雨が激しくてもほぼ濡れません。
■純正レインカバーERC-E4Sの良いところ
カメラのアイカップを外して、レインカバーのアイカップを装着するようになっているため、レインカバーを付けてもファインダーの見易さがいっさい損なわれないこと。
通常と同じようにファインダーを見ることができるので撮影時のピントの確認などしやすいです。
ちなみに、キャノンのウェブサイトではレインカバーERC-E4Sには「カメラは、アイカップL、またはアイカップSのいずれかが適合する。ただし、APS一眼レフカメラにはいずれのアイカップも装着できないため使用不可。」と書いてありますが、CANON EOS 7Dでは特に問題なく使えています。
アイカップを取り外すとき、少し外しにくいのでもしかしたらサイズが微妙に合っていないのかもしれませんが、大きな問題はありません。
*素材はレインコートのような素材です。潮がついている場合は水洗いして、干しておけばOKです。
専用レインカバーでなくても、簡易的にDIYでカバーを作れます。
こちらの作り方はよくあるビニール袋の底に穴をあけて、テープや輪ゴムで止めるだけ。
写真の例はレンズフードにテープで固定し、カメラ側は輪ゴムで止めている。
このレインカバーだとカバーについた潮を洗い流さずに毎回使い捨てで利用できます。
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