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2007 A.S.P. WQS 6STAR 夢屋ビラボンプロタハラ

  2007/08/01 DAY-2

 台風 5号からやってくる波を逃すものかとばかりに、大会2日目の今日は早朝5時半コールの6時スタート。2007A.S.P. WQS 6STAR夢屋ビラボンプロタハラのラウンドオブ192がいよいよ始まった。
 早朝はセットで腰〜胸 (1メートル前後)のサイズだったが、ヒートが進むにつれ、どんどん波はサイズアップ、昼近くにはセットで2メートル近い波がコンテスト会場の大石海岸に押し寄せた。波はその後も徐々にサイズアップ、夕方にはオーバーヘッドにまで上がり、サイズのあるセットはすでにクローズアウトの状態だった。
 天候は晴れ、風はオンショア (海から岸に向かって吹く風)だが、波のフェイスを荒らすほどではなく、コンテストとしては最高のコンディションに恵まれた。潮の加減で時折チューブになるセクションも見られ、ワールドトップクラスの選手たちのサーフィンを堪能するにはまたとない1日だった。
 現在世界を転戦している日本人選手たちもこのラウンドには数多く参加したが、その中でも上位選手たちは順当に次のラウンドに勝ちあがっていった。
 林健太の 8.67、牛越峰統(うしこしみねとう)の8.50、若手の田中英義の8.17など、大会ベスト10に入るハイポイントのライディングも出て、日本人のサーフィンレベルの高さを見せ付けた。特に牛越のドライブの効いた大きなラインは、台風の力強い波に良くあっていて、集まったギャラリーをうならせた。
 しかし、ラウンドオブ 196の24ヒートを消化し、次のラウンドオブ144に進むと、勝ち上がった日本人選手たちは次々と敗れていってしまい、本日の最終ヒートのラウンドオブ144の第8ヒートまでで、次のラウンドオブ96に勝ち上がったのは田中樹のみとなってしまった。
 明日以降に出場するラウンドオブ 144のヒート9から先の勝ち残り選手、あるいはワイルドカードシードの日本人選手に期待するしかない。しかし、このあたりになってくると実力に勝るシード選手も登場する。そうかんたんにはヒートアップできないのも現実だ。特に6スターの試合にはASPワールドツアー(WCT)を回る選手も参加しているので、明日からは厳しい戦いが予想される。デーン・レイノルズ、CJホブグッドなどのスター選手たちも今日は大会会場に現れ、なかなか大きな国際大会の雰囲気になってきた大会二日目の2007A.S.P. WQS 6STAR夢屋ビラボンプロタハラだ。

text by mic加藤

   

  2007/08/02 DAY-3

 
2007A.S.P. WQS 6STAR夢屋ビラボンプロタハラ大会3日目は、台風5号の影響で、メイン会場のロングビーチ(大石海岸)の波のコンディションが大荒れとなり、サーフィン不可能な状態であるということで、車で30分ほど移動した伊良湖岬の先端、鳥羽行きのフェリー乗り場脇のポイントに会場を移して行われた。
 ここはサーファーたちの間で先端ポイントと呼ばれる場所で、台風のときなどのようにほかのサーフポイントがうねりが大きすぎてクローズアウトしてしまったり、風の影響を大きく受けてしまった時に、ちょうどいい波がブレイクする場所だ。
 メイン会場のロングビーチとは伊良湖岬を経て反対側の海岸になるため、風の向きも海に対しては逆になり、サーフィンには適しているオフショア (陸から海に向かって吹く風)になっている。天候も時折小雨がぱらつく程度でおおむね晴れていて、心配された雨に見舞われることも無かった。
 ただし、風は台風の影響を受けた風なので非常に強く、選手たちはボードを持って歩くのも難しそうなぐらい。たくさん集まった観客もノンビリと観戦というわけには行かなかったが、波のサイズはオーバーヘッド、沖の一番大きなセットはダブルオーバーヘッドぐらいあり、そのビッグウエイブの中で繰り広げられるワールドレベルのサーフィンは、見ていてとてもエキサイティングなものになった。
 時折チューブライディングも見られ、選手たちが上手くチューブをメイクすると、観客からは大きな歓声が上がっていた。アメリカのタナー・ガダスカス選手は迫力のあるカーヴィングにチューブライディングを織り交ぜて、今大会の最高ポイントの 9.50(10点満点)を出した。この選手はジュニアのイベント、夢屋ビラボンプロジュニアタハラGrade1でも決勝に進出しており。その実力の高さのほどがうかがえる。
 朝 7時30分、ラウンドオブ144の第9ヒートからスタート。ラウンドオブ96の第8ヒートまでが消化された。
 勝ち残っていた日本人選手が残念ながら次々に敗退していく中、ラウンドオブ 144の第19ヒートにクレジットされていた林健太選手と小川幸男選手が、シードの外国人選手を抑えて日本人ふたりでラウンドオブ96にヒートアップ。彼らの健闘にギャラリーから惜しみない拍手が送られた。
 続けて行われたラウンドオブ 96のヒート1から8までには、ASPワールドツアー(WCTの選手も多く出場し、徐々にそのサーフィンの演技レベルが上がっていった。期待された人気選手のCJホブグッド(アメリカ)は不調でなかなか波と合わず、あまりいいところの無いまま4位で敗退、2007A.S.P. WQS 6STAR夢屋ビラボンプロタハラから姿を消すことになった。大会ディフェンディングチャンピオンの南アフリカのロイデン・ブライソン、デーン・レイノルズ、トロイ・ブルックスなどの有名選手たちは順当に次のラウンドオブ48に勝ち進んだ。
 さて、このラウンドオブ 96では最初に出番がやってきた日本人選手が、本日最終ヒートにクレジットされていた田中樹。日本人選手が続々敗れていく中で意地を見せ、何とか2位でヒートアップ。日本人として最初のラウンドオブ48進出選手になった。

text by mic加藤

 

  2007/08/03 DAY-4

 2007A.S.P. WQS 6STAR 夢屋ビラボンプロタハラ大会4日目、昨日の予定通り、今日も伊良湖岬先端ポイントでコンテストが午前6時30分にスタート。

 波のサイズは昨日よりややダウンしたものの、1メートルから 1.5メートルと、まだまだ見応え十分。心配された雨の予報も、時折雲が広がる程度でほとんど降る事はなく、逆に強い真夏の日差しが照りつける絶好のコンテスト日和となった。

 台風による風も少し落ち着いたが、昼近くからは風向きが変わってオンショア ( 海から陸にむけて吹く風 ) になり、多少波の面の荒れることもあったが、終日いいコンディションに恵まれた。

 ラウンドオブ96の第9ヒートから第24 ヒートまでの2007A.S.P. WQS 6STAR 夢屋ビラボンプロタハラ、その後に夢屋ビラボンプロジュニアタハラ Grade1の残っているヒートからファイナルまでが行われた。夢屋ビラボンプロジュニアタハラ Grade1では、ASPワールドツアー(WCT)を回るブラジルのエイドリアーノ・デ・スーザ選手が前評判どおりに優勝、2位にタナー・ガダスカス選手 (アメリカ ) 、3位にジョーディ・スミス選手(南アフリカ)、4位にケーシー・ブラウン選手(ハワイ)が入り、日本人選手も健闘したがファイナルには残ることが出来ず、高橋健人選手の 5 位が最高位となった。

 エイドリアーノ選手は、各ラウンドごとに最後の1本で10点満点のうちの8点台、9点台というハイポイントを出して勝ち進み、ファイナルでも自分のペースを守って素晴らしいライディングを見せて優勝。「コンテストで優勝というのは久しぶりのことなのでとても嬉しい」とその喜びを素直に語った。

 2位のタナー・ガダスカス選手は、スモールウエイブコンディションだった大会初日にファイナル進出を決めたが、会場が変わり、コンディションが変わった伊良湖岬先端ポイントでも実力を発揮。オールラウンドなサーファーであることを証明した。

 3位のジョーディ・スミス選手は来シーズンのASPワールドツアー(WCT)入りを確約されている世界レベルの若手注目株。各ラウンドで8点台、9点台を面白いように出し、ダントツの強さで勝ち上がっていったが、ピークがセミファイナルだったようだ。「ホント疲れちゃったよ。日焼けもひどくて……」と、今真冬の南アフリカから来た選手らしい悩みもかかえていた。

 WQS6スターのほうでは日本人選手が大活躍。昨日次のラウンドオブ48に勝ち上がった田中樹選手に続いて、田嶋鉄兵選手、林健太選手、小川幸男選手も、手ごわい海外選手勢を見事に抑えてウンドオブ48に勝ちすすんだ。この勢いで、このラウンドの最終ヒートにクレジットされている、ワイルドカードの大野修聖選手にもラウンドアップの期待がかかったが、ASPワールドツアー(WCT)でも実力派の新人として注目され、ジュニアでも優勝したエイドリアーノ・デ・スーザ選手 (ブラジル)、サーフィン大国オーストラリアの期待の若手、アダム・ロバートソン選手などの強豪と同じヒートになり、健闘したものの、敗退してしまった。

 日本人選手以外では2006年ワールドジュニアチャンピオン、夢屋ビラボンプロジュニアタハラ Grade1の3位、ジョーディ・スミス選手(南アフリカ)、ASPワールドツアー(WCT)選手のダイヤン・ネーヴ選手(オーストラリア)、エイドリアン・バッカン選手(オーストラリア)、ロドリゴ・ドネレス選手(ブラジル)などが順当にラウンドオブ48に勝ち進んだ。

text by mic加藤

  2007/08/04 DAY-5

 2007A.S.P. WQS 6STAR 夢屋ビラボンプロタハラ大会5日目。

 会場をロングビーチ(大石海岸)に戻して早朝 7時30分に、ラウンドオブ48の12ヒート、続けてラウンドオブ24の8ヒートが行われた。

 勝ち残っている日本人選手たちのさらなる活躍が期待されたが、ラウンドが進むにつれてハイレベルになるサーフィンと、トリッキーなコンディションに思うように実力が出せずに敗退していく選手が多かった。

 天候は晴れ、波のサイズは1メートル前後、朝のうちはセットで1.5メートルほどあり、オンショアの風の影響で波のフェイスが荒れてはいるものの、コンテストには十分なコンディションだった。数は少ないものの中にはハイポイントライドが可能なクリーンな波もあり、波の選択のよしあしが勝敗を左右した。午後になると潮が引き始めてややサイズダウンしたが、そこは世界のトップレベルのサーファー。見ごたえのあるサーフィンをギャラリーに見せてくれた。

 早朝のヒートでまずギャラリーを驚かせたのが、ラウンドオブ48の第3ヒートのトロイ・ブルックス選手(オーストラリア)。オープニングウエイブで 9.17、中盤に8.00のライディングをそろえ、残り時間10分のところですでに勝ちを確信して海から上がってきてしまった。トロイ選手はASPワールドツアー(WCT)の選手で、実力はほかのWQS選手より数段上。このような難しいコンディションでもセットのいい波を取り、大きなスプレーを上げ、きちんと自分の仕事をしてハイポイントを重ねていたのは、さすが世界トップレベルの選手だ。

 次の第4ヒートに出てきた若手のデーン・レイノルズ選手 ( アメリカ ) は、すでにビデオなどではロックスター並みの人気を誇る選手。来シーズンのWCT入りを目指して今シーズンは意欲的にWQSを回っている。レイノルズ選手の売りは、エアリアル。スケートボードやスノーボードのテクニックのように波から飛び出し、空中を自由自在に飛び回る。このヒートでレイノルズ選手が見せてくれたスペシャルテクニックは、6フィートは飛んだかと思われる高い高いフリップ系の、タテに回った感じのエアー。着地も1ミリもぶれることなく完璧に決め、ワンマニューバーながら今大会のハイエストポイントとなる9.90をたたき出し、会場を埋め尽くしたギャラリーの喝采を浴びていた。

 日本人選手は田中樹、田嶋鉄兵、小川幸男の3人とも、チャンスがありながらうまく生かしきれずにラウンドオブ48で敗退。田中樹、小川幸男選手は37位で、賞金1,000ドル、813ポイントを、田嶋鉄兵選手は25位で、賞金1,200 ドルと875ポイントをそれぞれ手にした。

 4人残っていた日本人選手の中でただひとり、ラウンドオブ24の3人ヒートにアップしたのが林健太選手。ラウンドオブ48では、現在世界で最も注目される若手のジョーディ・スミス ( 南アフリカ ) を破ってのヒートアップだっただけに、ラウンドオブ24での活躍が期待された。波の取り合いをきらって、ひとり海に向かって右側のピークにポジショニングする作戦に出て、クリーンにブレイクしない波に手を焼いたものの、いい波を選び、先行された対戦相手たちを追ったが、惜しくも届かなかった。しかし日本人選手としては大健闘の2007A.S.P. WQS 6STAR夢屋ビラボンプロタハラ17位入賞。賞金1,800ドル、1125ポイントを手にした。

 ラウンドオブ48でハイポイントを出したデーン・レイノルズ選手や、ジョーディ・スミス選手もラウンドオブ24で敗退してしまう中、ディフェンディングチャンピオンのロイデン・ブライソン選手(南アフリカ)、現在のWQSポイントリーダーで、2002年のこのイベントの優勝者のティアゴ・ピレス(ポルトガル)選手、好調のトロイ・ブルックス選手(オーストラリア)、ジュニアイベントの優勝者エイドリアーノ・デ・スーザ選手(ブラジル) などは順当にファイナルデーにコマを進めた。

text by mic加藤

 

  2007/08/05 DAY-6 (LAST DAY)

 2007A.S.P. WQS 6STAR夢屋ビラボンプロタハラ大会5日目。熱く長い戦いもようやくファイナルデー。7時30分にラウンドオブ16の第1ヒートがスタートした。
 天候は晴れ、波のサイズは1.5メートル。昨日よりややサイズダウンしたものの、朝のうちは風も弱く、コンテストには絶好のコンディションに恵まれた。

  ディフェンディングチャンピオンのロイデン・ブライソン選手は同じ南アフリカのデヴィッド・ウェアー選手に破れ、今年の2007A.S.P. WQS 6STAR夢屋ビラボンプロタハラでは9位入賞、賞金2000ドルと1375ポイントを手にした。

  優勝候補の一角同士の好ヒートになった、ラウンドオブ16の第2ヒート、ポルトガルのティアゴ・ピレス選手対オーストラリアのトロイ・ブルックス選手は、両者とも大きなスプレーを上げるリップを連発するハイレベルな戦いになったが、ティアゴのほうが波の選択が正確で、序盤はリードされていたものの、後半には8.50のハイポイントをたたき出して逆転勝ちを収めた。
 しかし、そのティアゴ選手もクオーターファイナルで現役ASPワールドツアー(WCT)選手のゲイブ・クリング選手(アメリカ)に破れてしまった。もうひとりASPワールドツアー(WCT)選手のエイドリアーノ・デ・スーザ選手(ブラジル)は夢屋ビラボンプロジュニアタハラGrade1の優勝にこの2007A.S.P. WQS 6STAR夢屋ビラボンプロタハラでも優勝を狙っていたが、惜しくもクオーターファイナルで同じブラジルのヘイター・アルヴス選手に敗れてしまった。

  午後になると波のサイズが徐々に落ち始め、しかもオンショアが強くなり、なかなかハイポイントになる波が少なくなってきて、ヒートアップするには運も必要な状況。その中でも各ヒートでいい波に乗り、その波でスピードのあるシャープでキレのいいサーフィンを見せたゲイヴ・クリング選手(アメリカ)とベン・ブルジョワ選手(アメリカ)が2007A.S.P. WQS 6STAR夢屋ビラボンプロタハラのファイナリストとなった。
 ファイナルの30分ヒートが始まるや否や、クリング選手が立て続けに6.67を2本乗りペースをつかむ。対するブルジョワ選手はセットを慎重に待ち続け、中盤に7.00をマーク、逆転に必要なポイントを6点台に縮めたが、逆転の波は最後まで来ず、クリング選手の先行逃げ切りという結末になった。
 クリング選手は賞金15000ドルと2500ポイントを手にし、WQSランキングを11位まで上げた。2位のブルジョワ選手は賞金7500ドルと、2500ポイントを手にして、ランキングは4位、来年のA.S.P.ワールドツアー(WCT)入りに王手をかけた。

  2位のブルジョワ選手は、「作戦なんて何も考えてなかった。ただ、あそこに居てとにかく波をじっくり待ってたんだ。先行されたけど、長いヒートだからあせらなかったし、1本はいいライディングが出来たから、プライオリティを持ってじっくり次の波を待ってた、、だけど、結局来なかったね。でもファイナルに残れたんだから、すごくラッキーだったと思うよ」と喜びを語った。

  優勝のクリング選手は、「ファイナルだけじゃなくて今日1日そうだったんだけど、とにかく波を探して動き回ったよ。で、見つけた波では出来るだけのことをやるように、心がけた。ファイナルは早くペースをつかめてラッキーだったけど、後半の10分はすごく長く感じたよ。WCTの1年目で、あまりいい成績を出せてないから、このWQSからのクオリファイのバックアップはとても必要なものだったんだ。だから、本当に嬉しいよ」と語った。

text by mic加藤

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