レベルをアップするにはいろな方法があるが、やはり経験を積んだトッププロサーファーに教えてもらうのが確実だ。
9月のシルバーウィクに千葉県・千倉で開催されたWSL南房総プロジュニアに向けて、コンテスト前と期間中に田中樹がコーチングするサーフキャンプを実施しました。
コーチを受けたのは樹と同じオニールチームの若手ライダー。
・西慶司郎(四国)
・川合美乃里(四国)
・森友二(湘南)
・小林桂(カリフォルニア)
4人はそれぞれトップコンペティターとして国内外で活躍しているが大会でのさらなるスキルアップと4人全員が表彰台に上がることを目的にキャンプが行われた。
会場の千倉ビーチに試合の2日前に集まり、フリーサーフィンを通じて樹が技の完成度やサーフボードのマッチングなどをチェック。
夜は宿泊先で寝食を共にしてチームとしての一体感を出すためのコミュニケーションが図られた。
今回はいかにして試合に勝つか、が大きなテーマなので樹の教えることのメインは各ヒートでの個人に合った戦略だった。
試合が始まり、その時間の波のコンディションと対戦相手を分析した樹は的確な指示を与えていく。
例えばガールズの川合美乃里のヒート後にはパドルの遅さを指摘して長袖のウェットから半袖のウェットに変えた方がいい、とか、セットに乗って1発でもトップターンを決めていれば5点出せたとかの反省点を伝えた。
ただしヒート時間が少なくなった時に沖に行かずに手前の波に乗ってポイントを出していた点は褒めていた。
ジュニアの小林桂にはラウンド2の前に波のコンディション的にエアーが高得点につながることを伝え、実際にエアーリバースを決めた彼は1位通過を果たす。
桂は自らヒート後のウェーブセレクトの評価を樹に求めるなどコンテストに対しての貪欲さを見せた。
ジュニアラウンド1の西慶司郎は1位と差がある2位をキープ。ヒート中にビーチから4位の選手をブロックするように樹が指示を出す。
あえて3位の選手ではなく、4位の選手のポテンシャルを見極めての指示だ。これが功を奏して2位通過で次のラウンドにつながった。
一番若い森友二(ジュニアとカデットのダブルエントリー)にはセットを掴むポジションを教え、他の選手とは違う位置でパドルスタートするように伝え、
なおかつ2ターン勝負であることを頭に入れさせてヒートに臨ませた。結果、彼も着々とラウンドアップを果たしていく。
試合の結果、川合美乃里が優勝し、2015年WSLジャパンリーグのジュニアガールズチャンピオンも獲得した。
小林桂は残念ながらクォーターファイナルで敗退。西慶司郎はファイナルまで駒を進め4位でフィニッシュ。
森友二はカデットで2位、ジュニアで3位となり3人がファイナリスト、その内1人が優勝という形で終了した。
(ジュニアの優勝は仲村拓久未、カデットの優勝は村田嵐)
今回の実戦を交えてサーフキャンプはオニールチームとしては初の試みであったが樹の自らの経験を活かしたコーチングは各選手に分かりやすく伝わり、
自信を与えるものであった。
「アドバイスが全て結果につながりました」
「応援が嬉しかった」
「自分だけでなく、仲間のサーフィンが良くわかった」
など彼らのコメントがコーチやチームとの行動が有意義だったことを述べている。
樹は「自分がツアーを回る上でコーチングがあればもう少し良い成績を残せたかもしれない。自分のチームや後輩にはそういう思いをなるべくさせたくない」と考え、他のスポーツでは当たり前の監督やコーチの役を買って出た。
彼はコーチングは直接的にはスキルの向上だがキャンプによって団体行動における個人の心の配り方などを学べるので、サーフィン以外でも役立つと考える。
しかも口だけではなく体感して覚えることなので意味があるとも。
「レベル的にはジュニア世代のトップは世界でも戦えると思います」と言い、次には海外のコーチも入れてフィジカル面も入れたトレーニングやキャンプをやりたいと抱負を語ってくれた。
WSLでの活躍が悲願であり、東京オリンピックの追加種目に残ったサーフィン。
日本が世界と戦うには選手だけではなく、各協会やスポンサー、メディアなどが考えることもまだあると分からされたサーフキャンプであった。
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